治療院開業の準備と手続き完全ガイド|費用・届け出・集客も解説

「いつかは自分の治療院を持ちたい」
そう思いながらも、何から始めればいいのか分からずに立ち止まってはいませんか?
治療院の開業には、資格や手続きといった法律的な準備はもちろんのこと、資金計画、物件選び、設備投資、さらには集客や経営の視点まで、幅広い知識と判断が求められます。なんとなく始めてしまうと、思わぬ落とし穴にはまり、せっかくの夢が失敗に終わってしまうことも少なくありません。
この記事では、治療院の開業を目指す方に向けて、「どんな準備が必要か」「いくらかかるのか」「どんな手続きをすればいいのか」「どうやって集客するのか」といった実務的な疑問にすべて答えていきます。
さらに、実際の失敗事例や成功のためのポイントも踏まえながら、初めてでも安心してスタートできるようサポートします。
目次
治療院を開業する前に知っておきたいこと
治療院を開業するには、まず自分に合った治療院の種類や、独立を目指す目的を明確にすることが大切です。
この章では、開業を考える際に押さえておきたい基本的なポイントを解説します。
開業を目指すきっかけと背景
治療院を開業する理由は人それぞれですが、多くの方は「自分の技術でより多くの人を助けたい」「自分の理念に沿った施術を提供したい」といった想いを持っています。また、雇われて働くことに限界を感じ、自由な働き方や収入アップを目指して独立を考える人も少なくありません。
開業にはリスクも伴いますが、自分の裁量で経営ができる自由度の高さは大きな魅力です。開業前に自身の目的やビジョンを明確にすることが、長期的な経営成功につながる第一歩です。
治療院の種類とそれぞれの特徴(鍼灸・整骨・訪問など)
治療院とひとくちに言っても、いくつかの種類に分かれます。それぞれの特徴を理解して、自分に合ったスタイルを選ぶことが重要です。
- 鍼灸院:国家資格(はり師・きゅう師)が必要。東洋医学を中心とした治療が主で、肩こり・腰痛・不眠症など多様な症状に対応できます。
- 整骨院(接骨院):柔道整復師の国家資格が必要。骨折・捻挫・打撲などの外傷性疾患に対応し、健康保険の取り扱いが可能です。
- 整体院:特に資格が不要。リラクゼーション目的の施術が主流で、自由度が高い反面、法律や広告表現に注意が必要です。
- 訪問治療院:通院が困難な方への在宅施術。高齢者向け需要が増えており、今後の成長が見込まれます。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、自分の技術やライフスタイルに合う方向性を選びましょう。
治療院開業に必要な資格・条件とは?
治療院を開業する際には、どのような資格が必要なのかを確認しておくことが不可欠です。業態によっては国家資格が必要になるケースもあります。この章では、資格の有無による違いや注意点を解説します。
国家資格が必要なケースと不要なケース
治療院を開業するには、その業態によって必要な資格が異なります。以下に代表的な例を示します。
- 国家資格が必要な治療院
- 鍼灸院:はり師・きゅう師の国家資格が必要。
– 整骨院(接骨院):柔道整復師の国家資格が必要。
これらの施設では、健康保険を取り扱うこともでき、より医療に近い施術が可能です。 - 国家資格が不要な治療院
- 整体院やリラクゼーションサロン:法的には資格がなくても開業可能。
ただし、治療をうたう表現(例:「肩こりを治す」など)には注意が必要です。医療行為に該当しないよう、広告や説明文には配慮が求められます。
国家資格の有無により、施術内容・広告表現・保険の利用可否などに大きな違いが出てきますので、開業前にしっかり確認しておきましょう。
整体と鍼灸・整骨の違い
整体、鍼灸、整骨は似ているようで、それぞれに異なる特徴があります。
| 種類 | 資格要否 | 主な施術内容 | 健康保険対応 | 法的制限 |
| 整体 | 不要 | 骨格矯正・もみほぐしなど | 不可 | 表現制限あり |
| 鍼灸 | 必要 | はり・きゅうによる治療 | 条件付きで可能 | 医療行為OK |
| 整骨院 | 必要 | 捻挫・打撲・骨折等への施術 | 可能 | 医療機関に準じる |
自分が提供したい施術内容や目指す治療方針に応じて、適切な形態を選び、必要に応じて資格取得も検討しましょう。
開業のステップと必要な準備
治療院の開業には、多くの準備と段取りが必要です。この章では、開業に向けた全体の流れと、特に重要となる「コンセプトの設計」や「物件の選定」などについて、実践的な視点で解説します。
開業までにやるべきこと一覧(チェックリスト形式)
開業に必要な準備を把握し、抜け漏れなく進めるために、以下のようなステップをチェックリストで整理しておきましょう。
開業チェックリスト(一般的な流れ)
- 自分の提供したい治療スタイル・業態を決定(鍼灸、整骨、整体、訪問など)
- 必要な資格を取得・更新する
- 開業の目的や理念(コンセプト)を明確にする
- ターゲット層・地域ニーズを調査する
- 開業予定エリアの物件探し(自宅/テナントの比較)
- 必要な設備・機材の選定と購入
- 各種届け出(税務署・保健所・消防など)を準備
- 集客方法(SNS/HP/チラシなど)を検討
- 開業資金の確保と資金計画の作成
- スタッフを雇う場合は求人・面接などの採用活動
- 内装工事や施術スペースの整備
- 予約システムや会計処理の仕組みを整える
- 開業届など必要書類を提出
- オープン日を設定し、プレオープンや告知を行う
コンセプト・ターゲットの決め方
治療院の開業で最も重要なのが「コンセプト」の設定です。これは、どのような人を対象に、どのような施術を、どのような想いで提供するかを言語化する作業です。
例えば、
- 「仕事帰りのビジネスマン向けに、夜22時まで営業」
- 「高齢者向けの訪問鍼灸を専門に」
- 「アスリートのケガ予防とコンディショニングに特化」
といったように、誰に、どんな価値を、どんな方法で提供するかを明確にすることで、集客や差別化がしやすくなります。また、ブランディングやスタッフ教育の軸にもなります。
自宅とテナントの違いと選び方
治療院の開業場所としては「自宅」と「テナント」の2つが主な選択肢です。それぞれにメリット・デメリットがあります。
自宅開業のメリット・デメリット
- メリット:初期費用を大幅に抑えられる、通勤不要、固定費が少ない
- デメリット:生活感が出る、家族への配慮が必要、保健所の許可が出にくい場合もある
テナント開業のメリット・デメリット
- メリット:立地を選べる、集客がしやすい、専門性の高い空間演出ができる
- デメリット:家賃がかかる、初期費用が高い、契約条件に注意が必要
どちらを選ぶかは、事業計画とライフスタイルのバランスを見ながら検討しましょう。
開業資金・費用の目安と調達方法
治療院を開業するには、一定の初期資金が必要です。この章では、具体的な費用の目安とその内訳、資金をどのように調達するかについて詳しく解説します。
開業に必要な初期費用の内訳
治療院の開業には、業態や規模にもよりますが、おおよそ300万円〜800万円の初期費用が必要とされています。以下に主な内訳を紹介します。
| 費用項目 | 内容 | 目安金額(概算) |
| 物件取得費 | 敷金・礼金・仲介手数料など | 50〜150万円 |
| 内装・設備費 | ベッド、施術機器、受付、照明、エアコンなど | 100〜300万円 |
| 備品・消耗品 | タオル、消毒液、カルテ、文具類など | 10〜30万円 |
| 開業手続き関連 | 登記、開業届、保健所、消防などの申請 | 5〜20万円 |
| 広告・集客費 | チラシ制作、ホームページ、看板など | 10〜50万円 |
| 運転資金 | 開業後数ヶ月分の家賃・人件費など | 100〜200万円 |
これらの金額はあくまで目安です。自宅開業や中古備品の活用などで大きくコストを抑えることも可能です。
助成金や融資の活用方法
初期費用を自己資金だけでまかなうのは現実的ではないケースも多く、資金調達の方法を検討することが大切です。
日本政策金融公庫からの融資
創業融資制度を活用すれば、無担保・無保証で最大300万円程度の資金調達が可能です。事業計画書と資金計画をしっかり準備することで、審査通過率が高まります。
自治体や商工会議所の助成金・補助金
地方自治体によっては「創業支援補助金」「女性起業家支援金」などを用意している場合があります。
一部助成金では「雇用の創出」「地域活性化」を目的とした制度もあり、該当すれば数十万円〜100万円超の支援を受けられることも。
家族・知人からの借入れやクラウドファンディング
少額資金を集める手段としては、親族からの借入やクラウドファンディングも活用可能です。支援者に治療割引や特典を提供する「リターン型クラウドファンディング」は、宣伝効果も兼ねています。
治療院に必要な設備・内装・機器
開業後すぐにスムーズな施術を行うためには、必要な設備や備品をあらかじめ整えておくことが重要です。この章では、治療院に最低限必要な機器や、内装工事のポイントについて解説します。
最低限必要な設備リスト
治療院のスタイルによって異なりますが、一般的に以下のような設備が必要です。
基本的な設備・機器
- 施術用ベッド(可動式・折りたたみ式など)
- カーテンやパーテーション(プライバシー確保)
- 照明・空調設備(明るさと清潔感を両立)
- タオルウォーマー・ホットキャビ(施術用タオルの保温)
- 治療機器(低周波治療器・温熱治療器など)
- 手洗い設備(保健所の基準を満たす設計が必要)
- 待合スペース用の椅子・テーブル
- 受付カウンター・レジ・パソコン
あると便利な備品・アイテム
- 電子カルテ・予約管理システム(クラウド対応)
- 消毒用アルコール・スプレー・手指消毒液
- 音楽プレイヤー(リラックス効果のあるBGM)
- 名刺・パンフレット・ショップカード
安全性・清潔感・リラックスできる空間づくりを重視しましょう。
中古の活用とコスト削減ポイント
新品で設備を揃えると高額になりがちですが、賢くコストを抑える方法もあります。
- 中古の施術ベッドや治療機器:リースアップ品や展示品などは状態が良く、半額以下で購入可能なことも。
- オークション・専門業者の再利用市場:治療院・整骨院専門の中古品取り扱いサイトも存在します。
- DIYによる内装工事の一部対応:照明や棚の設置など、自分でできる作業を分担することで費用を圧縮できます。
- レンタルやリースの活用:短期間の契約で、開業初期の費用を軽減する方法も検討できます。
初期投資を抑えつつも、患者に不安を与えないよう清潔で安心感のある環境を整えることが大切です。
開業時に必要な届け出と法律手続き
治療院をスムーズに開業するためには、各種届け出と法的手続きが欠かせません。この章では、開業に必要な書類や申請内容、届け出の流れをわかりやすく解説します。
開業届の出し方(税務署)
治療院を開業する際は、まず税務署に開業届を提出する必要があります。
提出のポイント
- 提出期限:開業日から1か月以内が原則
- 提出書類:「個人事業の開業・廃業等届出書」
- 提出先:開業する地域を管轄する税務署
- 提出方法:窓口・郵送・e-Taxのいずれか
あわせて、青色申告を希望する場合は「青色申告承認申請書」も提出しておきましょう。節税効果のある帳簿付けが可能になります。
保健所・消防・健康保険の手続き一覧
施術内容によっては、保健所や消防への届け出も必要になります。
保健所への届出(主に鍼灸・柔道整復の場合)
- 必要書類:施術所開設届、構造設備の概要書、施術所の図面など
- 要件:手洗い設備・換気設備・施術室面積などが保健所基準を満たす必要あり
- 提出タイミング:開業の10日前までが目安
消防署への届け出
- 用途変更や火気使用設備がある場合は、消防法に基づいた届け出や立ち入り検査が必要
- 小規模でも内装に可燃性素材を使う場合は注意
健康保険(療養費)の受領委任制度の届け出
- 柔道整復師や鍼灸師が保険適用の施術を行う場合、地方厚生局に「受領委任の届出」を行う必要あり
- 受理されると、患者が支払うのは一部負担金だけとなり、残りは保険請求で受け取れる
資格別に異なる注意点
それぞれの資格によって、届け出の必要書類や設備基準が異なります。
| 資格 | 主な届け出先 | 特記事項 |
| 柔道整復師 | 保健所、地方厚生局、税務署 | 健康保険の取り扱いには「受領委任」の申請が必要 |
| 鍼灸師 | 保健所、地方厚生局、税務署 | 手洗い・施術室の構造要件あり |
| 整体師(無資格) | 税務署のみ | 保険適用不可。施術表現に注意が必要 |
地域によっては独自のルールがあるため、保健所や行政窓口への事前相談が非常に有効です。
集客の方法と経営の始め方
治療院を開業しても、患者が来なければ経営は成り立ちません。この章では、開業初期に行いたい集客施策と、安定した経営のための考え方を紹介します。
無料でできる集客方法(SNS、MEOなど)
開業初期は費用をかけずにできる集客施策が有効です。以下は代表的な無料集客法です。
Googleマップ(MEO対策)
「Googleビジネスプロフィール」に登録し、治療院の営業時間・施術内容・写真などを掲載しましょう。口コミ(レビュー)を積極的に集めることで、検索順位が上昇しやすくなります。
SNS活用(Instagram/LINE公式アカウント)
Instagramで施術風景や院内の雰囲気、健康情報などを発信する方法も良いでしょう。LINE公式を使えば、予約受付や再診促進、割引情報の配信も可能です。
ホームページとブログ
自作のホームページを用意し、「◯◯市 整骨院」などのローカルキーワード対策をしましょう。よくある質問や症状別の施術説明を記事化するとSEO効果も高まります。
地域情報誌・ポスティング
自宅周辺や商店街などに配布しましょう。地元密着の強みを活かせる手段です。
開業初期にやるべきマーケティング
ターゲット設定
明確な「誰に来てほしいか」が集客の第一歩です。ペルソナが定まると、SNS投稿やHPの文言もブレなくなり、訴求力が高まります。年齢・性別・職業・ライフスタイルを具体的に設定するようにしましょう。
例:「デスクワークで肩こりに悩む30代会社員」「更年期症状が気になる40代女性」
治療院の“強み”を一言で伝える
他院との違いを簡潔に伝えることが必要です。この“USP(独自の強み)”をSNS・ホームページ・チラシすべてに反映させます。
例:「夜22時まで営業」「女性専用」「1人1枠30分の完全予約制」「不妊鍼灸専門」
集客導線の設計
集客導線の理想は「SNSやGoogle → ホームページ → 予約」という自然な流れです。
例:
- ホームページにLINE予約ボタン・電話番号・予約フォームを目立つ位置に配置する。
- リッチメニューやプロフィールリンクから1クリックで予約にたどり着けるようにする。
継続的に患者を集める仕組み
リピート率を上げる工夫
- 初回施術時に次回予約を案内:「次は3日後に来ていただくと効果が安定します」
- 施術のたびにビフォーアフターの変化を可視化(例:姿勢写真、ROMチェック)して信頼を構築。
- 「月1メンテナンスプラン」などを提示し、再発防止や健康維持の習慣化を促します。
顧客管理とカルテのデジタル化
- クラウド型電子カルテや予約連携システム(freee会計連携やLINE連携)を導入。
- 「前回の来院から2ヶ月経過」「誕生日」などに合わせて自動メッセージ配信も可能に。
紹介制度の活用
- 紹介者・被紹介者それぞれに「500円割引」や「施術延長5分」などの特典を用意。
- LINE公式で紹介カード画像を送るなど、デジタル配布で手軽に拡散可能。
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治療院の開業には、資格や届け出だけでなく、「資金計画」「税務処理」「経理の整備」など、経営面のサポートが不可欠です。
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まとめ
夢をカタチにする治療院の開業は、単なる技術力だけでなく、準備力・計画力・情報収集力が成功を左右します。
誰のために、どんな想いで、どんなサービスを提供するのか。その問いに自信を持って答えられるようになったとき、あなたの治療院は本当のスタートラインに立っています。
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