管理会計とは?財務会計との違いや導入するメリットをわかりやすく解説
会社の数字を見て経営判断をしたいと考えたときに、「管理会計とは何か」「財務会計と何が違うのか」と迷う方は少なくありません。
管理会計は、社外に報告するための会計ではなく、会社の中で経営判断に役立てるための会計です。売上や利益を確認するだけでなく、部門ごとの採算や予算実績、資金の流れを見ながら、今後の打ち手を考えられるようになるのが特徴です。
この記事では、管理会計とは何か、財務会計との違い、導入するメリット、必要になりやすい会社、進めるときの注意点までわかりやすく解説します。
目次
管理会計とは?

管理会計とは、会社の経営に役立てるために、社内向けに数字を見やすい形にまとめて活用する考え方です。
決算書を作るためだけではなく、「どの事業が利益を出しているのか」「どこにコストがかかっているのか」「今後どのように改善すべきか」といった判断に役立てるために使われます。
管理会計とは社内の経営判断に使う会計のこと
管理会計は、経営者や管理者が会社の状況を把握し、次の判断をしやすくするための会計です。
たとえば、月ごとの売上や利益を見るだけでなく、店舗別、商品別、部門別に数字を分けて確認することで、どこに強みがあり、どこに課題があるのかを見えやすくできます。
財務会計のように外部へ報告することが目的ではないため、会社に合った形で数字をまとめられる点が特徴です。
経営者が見たい数字に合わせて、資料の作り方や確認の仕方を調整しやすいのが管理会計の考え方です。
管理会計でよく見られる数字の例
管理会計で見られる数字は、会社によって少しずつ違います。
ただ、よく使われるものとしては、月次の売上、利益、粗利率、固定費、変動費、資金繰り、部門別の採算などがあります。
たとえば、会社全体では売上が伸びていても、ある部門では利益が出ていないことがあります。反対に、売上規模は大きくなくても、利益率が高い事業が見つかることもあります。
このように、会社全体の数字だけでは見えにくい部分を分けて確認できるようになるのが管理会計の役割です。
管理会計の主な役割

管理会計の代表的な役割には、経営分析、予実管理、資金繰り管理、原価管理があります。ここでは、それぞれの内容を見ていきましょう。
経営分析
経営分析は、売上や利益、コストなどの数字から会社の状況を把握するためのものです。「売上が増えた」「利益が減った」と確認するだけでなく、その背景を考えるために行います。
たとえば、売上が前年より伸びていても、仕入れや人件費、広告費などのコストが増えていれば、利益はあまり増えていないことがあります。反対に、売上は変わらなくても商品構成や価格設定の見直しで利益率が改善していることもあります。
また、会社全体の数字だけでなく、部門別、商品別、店舗別などに分けて見ることで、どこが利益に貢献し、どこに課題があるのかが見えやすくなります。経営分析は、次の判断を考える土台になる役割です。
予実管理
予実管理は、あらかじめ立てた予算と実際の数字を比べて、計画どおりに進んでいるかを確認する管理方法です。売上や利益だけでなく、経費や投資額なども対象になります。
目標を立てるだけでは十分ではなく、予定との差がどこにあるのかを見なければ、改善の判断につなげにくくなります。たとえば売上が予算に届いていない場合でも、原因が客数の減少なのか単価の低下なのかによって、取るべき対応は変わります。売上は計画どおりでも、広告費や人件費が想定以上に増えていれば、利益は予定を下回ります。
毎月確認する習慣があると、問題が大きくなる前に気づきやすくなり、経営の軌道修正もしやすくなります。
資金繰り管理
資金繰り管理は、会社のお金の出入りを把握し、支払いに困らない状態を保つための管理です。厳密には財務管理の領域ですが、実務上は管理会計と合わせて月次で見ていくことが多いため、ここで触れています。
「黒字なのにお金が足りない」ということが起こるのは、売上が立っていても入金はまだ先で、仕入れや給与、家賃などの支払いが先に出ていくためです。損益計算上の利益と実際のお金の動きは、必ずしも一致しません。
そのため、資金繰り管理では、今いくら残っているかに加えて、いつ入金があり、いつ支払いがあるのかまで見ていきます。大きな設備投資を予定している場合や、入金サイトが長い業種では特に重要です。早めにリスクに気づければ、支払い時期の調整や融資の検討といった打ち手にもつなげやすくなります。
原価管理
原価管理は、商品やサービスを提供するためにかかっているコストを把握するためのものです。売上だけを見ていると順調に見えても、原価が高ければ利益は思ったほど残りません。
製造業であれば材料費や外注費、労務費など、サービス業でも人件費や業務委託費などが実質的な原価になります。業種によって中身は異なりますが、「売上をつくるために直接どれだけコストがかかっているか」を見ていくのが基本です。
原価が見えていないと、価格設定が適切かどうかの判断もしにくく、利益が薄い商品やサービスに気づきにくくなります。反対に、原価を把握できていれば、どの商品やサービスが利益を支えているのかが見えやすくなります。
管理会計と財務会計の違い
管理会計を理解するうえでは、財務会計との違いを知っておくとイメージしやすくなります。どちらも会社のお金や数字を扱うものですが、目的や使う相手が異なります。
| 項目 | 管理会計 | 財務会計 |
|---|---|---|
| 目的 | 経営判断に役立てる | 社外へ会社の状況を報告する |
| 主な利用者 | 経営者、管理者、社内の担当者 | 税務署、金融機関、株主など |
| 重視する内容 | 部門別採算、予算実績、資金繰り、改善点 | 決算書(損益計算書・貸借対照表など) |
| ルール | 自社に合わせて決めやすい | 会計基準や税務ルールに沿う必要がある |
| 主な使い方 | 今後の判断や改善に活かす | 会社の実績を外部に伝える |
財務会計は、会社の実績を社外へ正しく伝えるための会計です。決算書や申告書の土台になるもので、一定のルールに沿って作る必要があります。
一方で管理会計は、社内で経営判断に活かすための会計です。そのため、経営者が知りたいことに合わせて、数字の切り口を変えたり、確認方法を工夫したりしやすいです。
財務会計だけでは経営判断に足りないことがある
財務会計はとても大切ですが、それだけで日々の経営判断に十分とは限りません。
決算書は会社全体の結果をまとめたものなので、「どの商品が利益につながっているのか」「どの部門のコストが増えているのか」といった細かい課題までは見えにくいことがあります。
また、確定的な決算報告は年に一度の作成になるため、日々の経営判断で必要なスピード感とは合わないこともあります。
月ごと、部門ごと、案件ごとに数字を見たい場合には、管理会計の考え方を取り入れるほうが進めやすいです。
日々の経理数字を、もっと経営判断に活かしていきたいとお考えの方は、明治通り税理士法人までお気軽にご相談ください。会社の状況に合わせて、どこから手をつけるとよいかを一緒に考えていきます。
管理会計を導入するメリット

管理会計を導入する主なメリットは、会社の数字を経営に活かせるようになることです。ここでは代表的な3つを紹介します。
経営判断をしやすくなる
管理会計を導入すると、感覚ではなく数字をもとに判断できるようになります。どの事業が利益を支えているのか、どこでコストが増えているのかが見えるため、採用や広告費の増額、値上げといった判断にも裏付けを持たせやすくなります。
当法人のお客様の中には、月1回の財務会議を社内で最も重要な会議体と位置づけ、社員一人ひとりに数字への意識が浸透した結果、売上が約1億円から約15億円へと伸びた企業様もいらっしゃいます。数字を見る場をつくることが、経営判断のスピードと社内の意識の両面に影響するケースは少なくありません。
参考:https://meijidori.jp/wp/customer/voice_a/
問題に早めに気づきやすくなる
管理会計では月次や部門別で数字を確認するため、課題を早めに見つけられます。年に一度の決算だけでは、気づいたときには修正が難しいことも少なくありません。
利益率の低下、特定の経費の増加、入金の遅れといった変化も、定期的に見ていれば早い段階で把握でき、その分だけ打ち手も考えやすくなります。
金融機関への説明にもつながりやすい
管理会計は社内向けのものですが、結果として金融機関への説明にも役立ちます。日ごろから数字を見ている会社は、売上の変化や利益の状況、今後の見通しを伝えやすいためです。
融資を受けたいときや資金計画を見直したいときに、数字を把握できていることはそのまま安心材料になります。
管理会計が必要になりやすい会社

管理会計はすべての会社で必要というわけではありません。ここでは、特に取り入れる意味が大きい会社の特徴を紹介します。
売上はあるのに手元にお金が残りにくい会社
売上が伸びていても、なぜか資金繰りが楽にならない会社は少なくありません。損益と資金の動きが別々に見えておらず、何が手元資金を圧迫しているのかをつかみにくくなっているケースです。
管理会計を取り入れて損益と資金の流れを合わせて確認できるようにすると、資金繰りに不安がある会社ほど、数字の見方を見直す意味は大きいといえます。
部門や事業が複数ある会社
事業や店舗、部門が増えてくると、会社全体の数字だけでは実態をつかみにくくなります。会社全体は黒字でも、ある部門は利益を出し、別の部門はコスト過多で赤字になっている、というケースは珍しくありません。反対に、売上規模は小さくても利益率が高く、会社を支えている事業が見つかることもあります。
複数の店舗・サービス・商品・部署を持つ会社では、全体の損益だけを見ていると、どこに力を入れるべきか、どこを見直すべきかが判断しにくくなります。
経営者が感覚ではなく数字で判断したい会社
事業規模が大きくなると、これまで経験や感覚で進めてきた経営者も、数字をもとに判断したい場面が増えてきます。採用、設備投資、新規事業、広告投資など、お金の使い方が大きくなるほど数字の裏付けは重要です。「人を増やしても大丈夫か」「広告費を増やして利益が残るのか」といった判断は、感覚だけで決めると不安が残ります。
当法人のお客様にも、もともと数字や経理に苦手意識をお持ちだった経営者様が、毎月の報告と四半期ごとの打ち合わせを通じて自信をもって経営判断を下せるようになった例があります。(参考ページ)数字に詳しくないところからでも、伴走する税理士がいれば少しずつ進めていけます。
もし、自社がこれらの状態に当てはまるとお感じの方は、どこから着手すればよいかという段階からご相談いただけます。明治通り税理士法人までお気軽にお問い合わせください。
管理会計を導入するときの注意点

管理会計は役立つ考え方ですが、取り入れてすぐにうまくいくとは限りません。導入するときに気をつけたい点を3つ紹介します。
最初から細かくしすぎない
最初から細かく分けすぎると、入力や集計に手間がかかり、運用が続けにくくなります。数字をまとめること自体が目的になってしまい、現場の負担だけが増える状態になりがちです。
最初は「何を見るための管理会計なのか」を絞り、少しずつ広げていくほうが進めやすくなります。
進め方の例
- ステップ1:月次の利益と資金繰りを見る
- ステップ2:部門別の採算を見る
- ステップ3:商品別・店舗別など、さらに細かい切り口を加える
数字を作るだけで終わらせない
管理会計は、資料を作ること自体が目的ではありません。数字を見て、どのように判断し、改善につなげるかが大切です。
月次資料を作っていても、経営会議で見ていない、改善の話につながっていないという状態では活かしにくくなります。たとえば利益率が下がっていることがわかっても、原因が原価の上昇なのか、販売単価の低下なのか、経費の増加なのかを見なければ、打ち手は考えられません。
資料を作る場面と、その数字を見ながら判断する場面をつなげておくことが大切です。
社内の運用ルールをそろえる
担当者によって入力ルールや集計の考え方が違うと、毎月の比較がしにくくなります。管理会計では、数字の正しさだけでなく、毎月同じ基準で見られることがとても大切です。
そろえておきたい主な項目
| 項目 | 決めておく内容 |
|---|---|
| 勘定科目・経費の計上部門 | どの費用をどの部門に計上するか |
| 共通費の配分方法 | 本部経費を各部門にどう配分するか(または配分しないか) |
| 売上の計上タイミング | 受注時・納品時・請求時のどれで計上するか |
| 原価の考え方 | どこまでを原価に含めるか |
これらを最初に決めておくことで、あとから見直しや比較がしやすくなり、管理会計を継続しやすくなります。
管理会計を税理士に相談するメリット

管理会計は社内の経営に関わるものですが、税理士に相談しながら進めることで整えやすくなることがあります。ここでは、主なメリットを4つ紹介します。
会社に合った見方を見つけられる
管理会計には決まった正解がひとつあるわけではなく、自社ではどの数字を、どの単位で見るべきかを考えることが大切です。業種や事業形態によって、適した切り口は変わります。
事業形態別の見方の例
| 事業形態 | 見たほうがよい単位の例 |
|---|---|
| 店舗型の事業 | 店舗別の採算 |
| 複数サービスを展開 | 商品別・事業別の採算 |
| 資金繰りに不安がある | 入金と支払いのタイミング |
当法人にご相談いただくと、業種や会社の規模、現在の課題に合わせて、どのような管理方法が合うのかを一緒に考えられます。最初から細かくしすぎて続かなくなることを避けながら、今の会社に合った形で進められる点は大きなメリットです。
財務会計や税務とのつながりも見ながら進めやすい
管理会計は社内向けですが、もとになる数字は日々の経理や財務会計とつながっています。そのため、管理会計だけを別で考えるよりも、日々の記帳・月次処理・決算との流れを見ながら整えるほうが進めやすくなります。
経理とのずれがあると起こりやすい問題
- 勘定科目がそろっていない → 部門別採算や利益率が正しく見えない
- 月ごとの締め方が違う → 月次比較がしにくい
- 経費の配分ルールや売上計上基準が毎月変わる → 計画との比較もしにくい
顧問税理士と連携していれば、会計データのまとめ方や数字の見方を合わせていけます。管理会計だけが独立して動くのではなく、経理全体の流れの中で考えやすくなる点がメリットです。
数字を経営判断につなげやすくなる
管理会計では、数字を出すだけでなく、その数字をどう読むかが大切です。利益率の変化、コスト増、資金繰りのリスクをどう捉えるかは、慣れていないと判断しづらいこともあります。
たとえば利益が落ちている場合でも、原因が売上の未達なのか、粗利率の低下なのか、固定費の増加なのかによって、取るべき対応は変わります。売上が伸びていても、資金繰りが悪化している場合には、仕入れや入金サイトの影響まで見なければ実態をつかめません。
当法人にご相談いただくと、数字の変化を見ながら、どこに注目すべきかを一緒に考えられます。経営者が数字に苦手意識をお持ちの場合でも、見方を一緒に確認しながら進められます。
管理会計を無理なく続けやすくなる
管理会計は、一度仕組みを作っても、続かなければ意味が薄くなりやすいものです。入力や集計の負担が大きすぎたり、確認する流れが定着しなかったりすると、次第に使われなくなることがあります。
当法人にご相談いただきながら進めると、現在の経理体制や社内の負担をふまえて、無理なく続けやすい形を考えていけます。
ご相談のなかで一緒に決めていける点
- どこまでを社内で対応し、どこから外部と連携するか
- 最初はどの数字から確認していくか
- 月次・四半期など、どのタイミングで見ていくか
管理会計は、細かく作り込むことよりも、経営判断に使える形で継続できることが大切です。実際の運用まで見ながら整えられることも、税理士に相談するメリットのひとつです。
私たち明治通り税理士法人がサポートできること
私たち明治通り税理士法人では、会計や税務のサポートを通して、日々の業務を進めやすくし、安心して経営や本業に集中できるようお手伝いしています。ここでは、管理会計に関してご提供している主なサポート内容を3つご紹介します。
今の数字の見方を見直しながら進められる
「どの数字を見ればよいのかわからない」「売上や利益は見ているが、それだけで十分なのか迷う」という方は少なくありません。
私たちは、現在の経理の流れや経営上の課題を確認しながら、どのように数字をまとめていくとよいかを一緒に考えていきます。はじめて管理会計を検討する方でも、状況を一緒に確認しながら進められるようサポートしています。
日々の経理とつながる形で整えやすい
管理会計は、日々の経理とかけ離れた形にすると続きにくくなります。入力のルールが定まっていなかったり、集計の方法が複雑すぎたりすると、毎月の運用が負担になりやすいためです。
明治通り税理士法人では、日々の経理の流れを見ながら、無理なく続けやすい形で数字をまとめられるようサポートしています。どこまでを社内で行い、どこからを私たちが支援するかも含めて、進め方を一緒に考えていきます。
経営判断に活かしやすい形でご相談いただける
管理会計は、資料を作ることではなく、経営判断に活かすことが大切です。
私たちは、月次の数字や資金の流れを見ながら、どこに注目すべきか、どのように改善を考えるかをご相談いただける体制を整えています。数字に苦手意識がある方でも、いきなり難しい資料を作るのではなく、必要なところから見方を整えていけるようお手伝いしています。
「ただの税理士」ではなく、
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明治通り税理士法人は、記帳や申告だけの税理士ではありません。
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売上は見ているものの利益の中身がわかりにくい方や、数字をもっと経営に活かしたいと考えている方は、管理会計の考え方を一度見直してみることをおすすめします。
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