法人税の中間納付仕訳と勘定科目を徹底解説
法人税の中間納付は、法人の会計処理や税務申告の中でも見落としやすいポイントの一つです。仕訳方法を誤ってしまうと、決算時の精算や還付処理に影響が出るだけでなく、帳簿の整合性を欠く原因にもなりかねません。
この記事では、法人税の中間納付に関する制度の基本から、実際の仕訳方法、使用する勘定科目、freeeや弥生といった会計ソフトでの処理方法、そして決算時の精算・還付まで、一連の流れをわかりやすく解説しています。
「仮払法人税等ってなぜ資産になるの?」「還付されたときの仕訳はどうするの?」といった素朴な疑問も整理していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
法人税の中間納付とは?
ここでは、法人税の中間納付について、制度の概要や申告の種類、納付時期などの基本的な内容を詳しく解説します。
中間納付とは「半年分の法人税の前払い」
法人税の中間納付とは、事業年度の途中である6か月経過時点において、あらかじめ法人税の一部を納める仕組みのことです。法人税は本来、事業年度が終了した後に確定申告を行い、その際に一括で納付することになりますが、一定の条件を満たす法人には中間納付が義務付けられています。
この制度の目的は、法人の納税を平準化することで、年度末の資金負担を軽くすることにあります。結果として、資金繰りの安定にもつながります。
中間納付が必要となる基準とタイミング
中間納付が必要になるのは、前の事業年度において確定した法人税額が20万円を超えていた場合です。この条件に該当すると、次の事業年度では中間時点で法人税を納付する義務が生じます。
納付の期限は、事業年度開始から6か月が経過した日から2か月以内です。たとえば、4月決算の会社であれば、10月末までに中間納付を済ませる必要があります。
予定申告と仮決算の違い
中間納付を行う際の申告方法には、「予定申告方式」と「仮決算方式」の2つがあります。それぞれの特徴を理解して、適切な方法を選ぶことが重要です。
予定申告方式は、前期の確定法人税額の1/2を基準として、中間納付額を計算して納付する方法です。簡便で手間が少ないため、多くの法人がこの方式を採用しています。
一方、仮決算方式は、事業年度の途中までの実際の利益をもとに法人税額を計算し、その金額を納付する方式です。前年度に比べて利益が減っている場合には、仮決算方式を選ぶことで中間納付額を抑えられる可能性があります。
中間納付に必要な仕訳と勘定科目の基礎
ここでは、法人税の中間納付において使用される勘定科目の意味や、仕訳の基本パターンについて詳しく解説します。
仮払法人税はなぜ資産なのか?
中間納付を行う際に使われる代表的な勘定科目に「仮払法人税等」があります。この科目は、法人税を事前に支払ったことを意味し、まだ確定していない税金を一時的に処理するために使われます。確定申告で最終的な税額が確定するまでは、仮に支払った状態となるため、帳簿上は「資産」として計上するのが正しい処理です。
たとえば、前払費用や仮払金と同じように、一時的な前払い分を管理するための勘定科目と考えると分かりやすいでしょう。
中間納付で使う主な勘定科目一覧
中間納付に関する会計処理では、以下のような勘定科目を使用します。ここでは、それぞれの科目の意味と分類を紹介します。
| 勘定科目 | 内容 | 区分 |
| 仮払法人税等 | 中間納付時に一時的に前払いした税金を処理 | 資産 |
| 法人税等 | 決算で確定した法人税の金額を計上する科目 | 費用 |
| 未払法人税等 | 決算時点でまだ支払っていない法人税を処理 | 負債 |
| 租税公課 | 印紙税や登録免許税など、その他の税金処理 | 費用 |
中間納付の仕訳では、「仮払法人税等/普通預金」という形式が基本になります。
仕訳例:中間納付時の基本パターン
ここでは、実際に中間納付を行った際の基本的な仕訳の例を紹介します。
【予定申告方式で中間納付した場合】
| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 10/10 | 仮払法人税等 | 300,000円 | 普通預金 | 300,000円 |
この仕訳は、法人税の一部をあらかじめ支払ったことを表します。最終的な法人税額が確定した際には、この仮払分を差し引いて精算することになります。
【仮決算方式を選択した場合】
仮決算方式を採用する場合でも、基本的な仕訳の考え方は同じです。ただし、支払う金額は実際の損益に基づいて算出されるため、予定申告方式とは異なる金額になることがあります。処理方法自体は変わらず、「仮払法人税等/普通預金」という形式になります。
中間納付の仕訳を会計ソフト別に解説
ここでは、中間納付の仕訳方法について、主に「弥生会計」と「freee会計」の2つの会計ソフトを例に取り上げ、それぞれの入力方法や注意点を解説します。
弥生会計での仕訳入力例
弥生会計を使用して中間納付の仕訳を行う場合の具体的な方法を紹介します。経理処理の方法は「税込経理方式」と「税抜経理方式」に分かれるため、それぞれのケースを見ていきましょう。
【税込経理方式の例】
| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 10/10 | 仮払法人税等 | 300,000円 | 普通預金 | 300,000円 |
この場合、弥生会計では税区分の設定を「対象外(課税対象でない)」に設定するのが一般的です。また、「仮払法人税等」という勘定科目がソフト上に登録されていない場合は、「法人税等」という勘定科目のサブ科目として追加する方法が便利です。
【税抜経理方式の例】
税抜経理方式でも仕訳の形は変わりませんが、他の取引と混同しないように税区分の設定を正しく行うことが大切です。誤って課税区分にしてしまうと、消費税の計算に影響を与えることがあります。
freee会計での仕訳入力例
次に、freee会計を使った中間納付の仕訳方法について説明します。freeeでは「支出登録」から入力を行うと、自動で仕訳が作成される機能があります。
例
| 日付 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 10/10 | 仮払法人税等 | 300,000円 | 普通預金 | 300,000円 |
freeeでは、勘定科目に「仮払法人税等」がない場合があります。その場合、「法人税等(資産)」など類似の科目を選び、取引内容を摘要欄に具体的に記載することで対応できます。
各ソフトでの仕訳の違いと補足
ここでは、弥生会計とfreee会計の仕訳処理に関する違いを比較しながら、ポイントをまとめます。
| 比較項目 | 弥生会計 | freee会計 |
| 勘定科目の柔軟性 | 自由に追加・編集が可能 | プリセット中心で一部制限あり |
| 税区分設定 | 手動で詳細に設定可能 | 基本的には自動処理、確認が必要 |
| 摘要欄 | 任意で自由に記載可能 | 取引区別の管理に有効 |
| 自動仕訳機能 | 基本的に手動入力 | 支出登録などにより自動仕訳される |
どちらのソフトを使う場合でも、あらかじめ中間納付用の仕訳テンプレートを用意しておくと、処理がスムーズになり、誤入力の防止にもつながります。
中間納付後の決算処理と還付の仕訳
ここでは、決算時に行う中間納付額との精算処理や、税金が還付される場合の仕訳、そして法人税等の内訳について具体例を交えて詳しく説明します。
中間納付額の調整仕訳の考え方
中間納付はあくまで前払いの処理であるため、決算の際には確定した法人税額との差額を調整する必要があります。ここでは、精算時の仕訳について紹介します。
【例:中間納付300,000円、確定法人税額500,000円】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 法人税等 | 500,000円 | 仮払法人税等 | 300,000円 |
| 未払法人税等 | 200,000円 |
この仕訳では、まず確定した法人税額500,000円を「法人税等」として費用に計上します。次に、中間納付時に前払いとして処理していた「仮払法人税等」300,000円を消し込み、差額の200,000円を「未払法人税等」として処理します。
このように、仮払分と未払分を正確に使い分けることで、帳簿の整合性を保ち、正確な決算処理につながります。
中間納付が還付されるケースと仕訳
中間納付額が確定した法人税額を上回っていた場合には、差額が還付されるケースがあります。特に仮決算方式で途中までの業績が思わしくなかった場合などに起こりやすいです。
ここでは、還付が発生する場合の仕訳例を紹介します。
【例:中間納付300,000円、確定法人税額250,000円】
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
| 法人税等 | 250,000円 | 仮払法人税等 | 300,000円 |
| 未収還付法人税等 | 50,000円 |
この場合、確定した法人税額250,000円を「法人税等」として計上し、中間で納付していた300,000円を「仮払法人税等」として全額消し込みます。差額の50,000円は、あとで返ってくるお金として「未収還付法人税等」などの資産勘定で処理します。なお、実際に還付されるのは決算後しばらく経ってからになるため、還付が確定した時点で再度仕訳処理を行う必要があります。
地方法人税・法人税等の分類も押さえる
法人税等は、実際には複数の税金が含まれており、それぞれに応じた勘定科目で管理することが望ましいです。ここでは、代表的な分類とその内容を紹介します。
法人税→ 国に納付する、企業の所得に対して課される国税
地方法人税→ 国が徴収し、地方自治体に配分される法人税の一部
法人住民税→ 地方自治体に納める住民税で、法人税割と均等割から構成される
法人事業税→ 都道府県に納付する地方税で、法人の所得や付加価値額等に応じて課され
決算書や税務申告書では、これらの内訳を明示する必要があります。そのため、会計ソフト上でも「法人税等」を細かく分けて管理しておくと、申告時の作業がスムーズになります。
多くのソフトには「法人税等」のサブ科目登録機能があるため、それを活用することで、より実務に適した処理が可能になります。
よくある質問Q&A
中間納付はいつ、どのように行う?
中間納付は、事業年度開始から6か月経過後、2か月以内に納付する必要があります。具体的な納付時期は、会社の決算月によって異なります(例:4月決算なら10月末まで)。納付方法は、「納付書による支払」「e-Tax(電子納税)」「ダイレクト納付」などが利用できます。
納付書は税務署から届く?
基本的には、前期に法人税を納めていた法人には、税務署から納付書が郵送されます。ただし、e-Taxを利用している法人には届かないケースもあるため、自身で納付書を作成・印刷する必要があります。
赤字でも中間申告が必要?
原則として、前事業年度の法人税額が20万円を超えている場合は、中間申告が必要です。ただし、仮決算方式を選択し、実際に利益が出ていない(=納税額が0円)場合は、申告書のみの提出で納付は不要です。
中間納付を忘れたらどうなる?
中間納付の期限を過ぎてしまうと、延滞税や加算税が課される可能性があります。また、「中間申告書を提出していない=予定申告とみなす」扱いとなり、自動的に税額が決定される場合もあるため、注意が必要です。
明治通り税理士法人ができること
中間納付をはじめ、経理・税務のあらゆる課題に対応します
明治通り税理士法人では、法人税の中間納付に関する会計処理や税務申告をはじめ、経理・税務に関する幅広いご相談に対応しています。
中間納付については、仕訳方法のアドバイスにとどまらず、納付額の試算、申告書の作成、決算時の精算処理まで、一連の流れを一貫してサポートいたします。
クラウド会計で業務を効率化。全国どこからでもご相談可能です
当法人では、freeeや弥生会計などのクラウド会計ソフトにも積極的に対応しており、ペーパーレス化や経理業務の効率化を支援しています。
遠方のお客様にも、Zoomやチャットなどのオンラインツールを活用し、距離を感じさせない丁寧なサポートを提供しています。
法人・個人を問わず、経営に寄り添うパートナーとして
法人だけでなく、オーナー経営者や個人事業主の方からのご相談も多く承っております。
税金に関する小さな疑問から、事業承継や資金繰りのご相談まで、身近なパートナーとして気軽にご相談いただけます。
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まとめ
法人税の中間納付は、単なる税金の支払いにとどまらず、決算時における精算処理や帳簿の整合性に深く関わる重要な会計業務です。
仕訳の内容を正確に理解して処理しなければ、税務調査や社内監査において誤りを指摘される可能性が高くなるため、日頃から注意しておく必要があります。
さらに、明治通り税理士法人のような専門家のサポートを受けることで、日常業務の負担を減らしつつ、正確で効果的な財務管理を実現することができます。会計や税務に不安がある方はぜひご相談ください。