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投稿日:2025.11.07

【解説】消費税の簡易課税制度とは|計算方法とシミュレーション事例

消費税の簡易課税制度は、仕入れや経費の記帳が難しい中小事業者にとって、消費税の納税をより簡単に行うための制度です。しかし「簡単」とはいえ、計算方法や条件、他制度との違いを正しく理解していないと、思わぬ損をすることもあります。

この記事では、簡易課税制度の基本的な仕組みから、業種ごとのみなし仕入率、計算式、具体的なシミュレーション事例までを初心者にもわかりやすく解説します。

さらに、インボイス制度との関係や制度選びの注意点も紹介していますので、制度選択で迷っている方はぜひ参考にしてください。

消費税の簡易課税制度とは?仕組みと特徴

消費税の簡易課税制度は、一定の中小事業者が消費税の納税額を簡単に計算できる制度です。

通常の「一般課税方式」では、売上にかかる消費税から仕入や経費にかかる消費税(仕入税額控除)を引いて納税額を求めますが、簡易課税制度では業種ごとに定められた「みなし仕入率」を使って納税額を算出します。そのため、仕入れや経費の詳細な帳簿をつける必要がなくなり、計算の手間が減るのが特徴です。

比較項目 一般課税 簡易課税
計算方法 実際の仕入税額を控除して計算 みなし仕入率を使って計算
帳簿の必要性 仕入や経費の記録が必要 詳細な帳簿がなくてもOK
対象 原則としてすべての事業者 前々年の課税売上が5,000万円以下の事業者
精度 実際の取引内容に即した金額 実態とずれる場合もあるが簡易に処理できる

適用できる事業者の条件

簡易課税制度を使えるのは、前々年(2年前)の課税売上高が5,000万円以下の事業者です。また、制度を使うにはあらかじめ「簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出しておく必要があります。

この届出は、原則としてその課税期間の前日までに提出しておく必要があり、提出後は2年間変更ができません。 そのため、制度を使うかどうかの判断は、よく考えてから行うことが大切です。

消費税の簡易課税の計算方法を詳しく解説

簡易課税制度を利用すると、仕入や経費の実際の消費税額を計算する必要がなくなり、事務作業が大幅に軽減されます。

ただし、計算の仕組みや適用方法を正しく理解しておかないと、誤った納税につながることもあるため注意が必要です。

ここでは、簡易課税制度におけるみなし仕入率の仕組みや、実際の計算方法、地方消費税の求め方までをわかりやすく紹介します。

みなし仕入率とは?業種ごとの一覧

みなし仕入率とは、国が業種ごとに定めた、平均的な仕入や経費の割合をもとに計算される数値のことです。この割合を使うことで、仕入控除額を「みなし」で計算することができ、帳簿を細かく記録しなくても消費税の納税額を求めることができます。

以下は、業種別に定められたみなし仕入率の一覧です。

業種 区分 みなし仕入率
第1種(卸売業) 商品の販売業 90%
第2種(小売業) 消費者向け販売業 80%
第3種(製造業・建設業など) 製造・加工・建設等 70%
第4種(飲食業など) サービス+物品提供 60%
第5種(サービス業) 専門・自由業など 50%
第6種(無形資産提供業) 広告業・不動産貸付など 40%

一つの事業者が複数の業種を営んでいる場合は、業種ごとに売上高を分け、それぞれの仕入率を使って別々に計算する必要があります。

消費税の計算式と適用方法

簡易課税制度における消費税額は、次の計算式で求められます。

消費税額 = 課税売上高(税抜) × 税率 ×(1 – みなし仕入率)

例えば、課税売上高が1,000万円で、小売業(第2種・みなし仕入率80%)の場合は、以下のように計算します。

1,000万円 × 10% ×(1 – 0.8)= 1,000万円 × 0.10 × 0.2 = 20万円

このように、実際にかかった経費などは考慮されず、あらかじめ決められた割合で納税額が決まるのが簡易課税制度の特徴です。

インボイス制度と簡易課税の関係

令和5年10月から導入されたインボイス制度により、消費税の計算方法や取引先とのやりとりに関して、事業者側に求められる対応が大きく変わってきました。

ここでは、仕入税額控除の仕組みと、簡易課税制度を選んでいる事業者がインボイス制度にどう向き合えばよいかについて紹介します。

仕入税額控除とは?

仕入税額控除とは、売上にかかる消費税から、仕入れや経費で支払った消費税を差し引いて納税額を求める仕組みのことです。

たとえば、売上にかかる消費税が100万円で、仕入れにかかった消費税が40万円だった場合は、

100万円 − 40万円 = 60万円

このように、実際に支払った消費税分を差し引けるため、消費税の二重払いを防ぐ役割があります。

ただし、仕入税額控除を適用するには、仕入先から発行された「適格請求書(インボイス)」を保存しておく必要があります。

インボイス制度の影響

インボイス制度が始まったことで、多くの取引先が「インボイスを発行できるかどうか」を重視するようになりました。仕入先がインボイスに対応していない場合、その分の仕入税額控除ができなくなるためです。

簡易課税制度を利用している事業者は、そもそも仕入税額控除の計算を行わない仕組みのため、インボイス制度の影響を受けにくいとされています。

ただし、影響がまったくないわけではありません。以下のような点には注意が必要です。

  • インボイス制度に登録していないと、取引先からのインボイス発行依頼に対応できない
  • インボイス登録の有無により、取引条件が変わる可能性がある
  • インボイスを発行できないと、取引先が仕入税額控除をできず、今後の取引に支障が出ることがある

インボイス発行事業者登録をどう判断すべきか

簡易課税制度を利用する場合でも、インボイス発行事業者として登録すべきかどうかは、自社の状況によって異なります。

特に、以下のような点をふまえて検討することが重要です。

  • 自社の主な取引先がどのような業種・立場か
  • 今後の事業の拡大や業種の変化が見込まれるか
  • BtoB取引が多いか、それとも個人向けの事業が中心か

たとえば、下請けとして事業を行っている場合や、法人との取引が多い業種では、インボイスに対応していないことで不利な条件を提示される可能性もあります。

このような点を踏まえ、制度への対応を検討していくことが大切です。

2割特例制度とは

2割特例は、令和5年10月に始まった新しい制度で、主にインボイス制度により新たに課税事業者になった小規模事業者を対象とした措置です。課税売上にかかる消費税額の2割だけを納税するという非常に簡単な方法ですが、利用できる条件が限られています。

比較項目 簡易課税 2割特例
届出の必要 あり(事前に提出) 不要(申告書に記載するだけ)
計算方法 みなし仕入率をもとに計算 売上にかかる消費税の20%を納付
対象者 前々年の課税売上が5,000万円以下 売上が1,000万円以下で、免税事業者から課税事業者になったインボイス登録者
制度の継続性 継続して利用可能 令和5年10月から令和8年9月末までの限定措置(予定)

2割特例は、非常に簡単な計算で済む反面、期間が限定されていることと、対象者がかなり絞られている点に注意が必要です。簡易課税とどちらが適しているかは、自社の売上規模や将来の見通しを踏まえて判断する必要があります。

専門家が語る簡易課税の落とし穴

簡易課税制度は手軽に使える制度ですが、すべての事業者にとって最適というわけではありません。制度の仕組みをよく理解せずに選んでしまうと、思わぬ損をする可能性もあります。

ここでは、簡易課税制度を選ぶ際の注意点や、業種ごとの判断ポイントについて紹介します。

意外と損をする?簡易課税の注意点

簡易課税制度は便利な反面、実態に合っていないと不利になるケースもあります。よくある注意点を3つ紹介します。

実際の仕入率が高い業種では不利になることがある
みなし仕入率よりも、実際の仕入や経費の割合が高い場合、簡易課税では納税額が多くなってしまうことがあります。たとえば、卸売業(第1種・みなし仕入率90%)で実際の仕入率が95%ある場合、一般課税の方が有利になる可能性があります。

高額な設備投資等をした場合
建物、内装、車両の購入など高額な設備を取得した場合や、売上よりも仕入や経費が多く赤字となった場合には、売上に係る消費税より、仕入に係る消費税が多くなるケースがあります。この場合、原則計算の場合は消費税が還付されますが、簡易課税制度には還付はありませんので注意が必要です。

制度を選ぶと2年間は変更できない
一度「簡易課税制度選択届出書」を提出すると、原則として2年間は取り消すことができません。その間に業種や売上構成が変わっても、制度変更がすぐにはできないため注意が必要です。

業種別に異なる判断ポイント

簡易課税が有利になるか不利になるかは、業種によって大きく異なります。以下は代表的な例です。

  • 卸売業や小売業のように仕入が多い業種では、原則課税が有利になりやすい
  • 士業やコンサルタント業のように仕入が少ない業種では、簡易課税の方が有利となる可能性がある
  • つまり利益率の高い業種ほど簡易課税が有利となる可能性がたかい

業種やビジネスモデルに応じて、どの制度が最適かは異なります。単に計算の簡単さだけで判断するのではなく、事務負担の軽減や取引関係への影響もあわせて考えることが重要です。

明治通り税理士法人ができること

税務相談と制度選択のアドバイス

簡易課税制度を含め、消費税の課税方式を選ぶ際には、納税額だけでなく将来の事業計画や業種の特性も考慮する必要があります。

明治通り税理士法人では、事業者の状況を丁寧にヒアリングし、

  • 簡易課税と一般課税のどちらが有利か
  • インボイス制度に対応すべきかどうか
  • 制度を選ぶことで今後どのような影響があるか

といった点を総合的に判断し、最適な制度選択のアドバイスを行います。

計算方法や申告書類の作成支援

実際の簡易課税制度の計算では、業種ごとのみなし仕入率の適用や、地方消費税の計算など、細かいルールに注意が必要です。

明治通り税理士法人では、

  • 年商に基づいた納税額のシミュレーション
  • 正確な計算式に基づいた税額の試算
  • 確定申告書や届出書類の作成・提出サポート

など、事業者の負担を軽減しながら、正しい申告ができるよう丁寧にサポートします。

クラウド会計による業務効率化の提案

明治通り税理士法人は、クラウド会計に強みを持っており、全国どこからでもオンラインで相談・対応が可能です。消費税の申告業務も含め、次のような効率化をご提案できます。

  • 会計ソフトとの連携による帳簿作成の自動化
  • インボイス対応も考慮した仕訳・請求書管理の整備
  • Zoomやチャットツールを活用した継続的な税務サポート

税務申告だけでなく、経理全体の業務を効率化したい方にとっても、安心して相談できる体制を整えています。

まとめ

消費税の簡易課税制度は、中小企業や個人事業主にとって計算の手間を大きく軽減できる便利な制度です。一方で、業種や実際の経費率によっては一般課税の方が有利になることもあり、選択には慎重な判断が求められます。

特に消費税は2年間は強制適用などのルールがあり、1年目は簡易で有利だったが、2年目に設備投資をし、計算したら原則計算の方が有利だったというケースもあります。将来の計画を元に制度の適用を検討する必要があります。

明治通り税理士法人では、制度の比較・試算・インボイス対応まで、事業者様の状況に応じたきめ細かなご相談が可能です。不安がある方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

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