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投稿日:2025.10.14

寄付金が損金不算入となる理由と計算方法を税理士が解説

寄付金を支出したものの、「どこまでが経費になるのか?」「損金不算入ってどういう意味?」と疑問に感じたことはありませんか?

法人税の計算において、寄付金はそのすべてが損金(=経費)として認められるわけではなく、一定のルールに基づいて処理しなければなりません。特に、「一般寄付金」「国外関連者への寄付」「グループ法人間の寄付」などは、損金不算入となるリスクが高く、実務上の注意が必要です。

本記事では、寄付金の損金不算入制度について、制度の趣旨から限度額の計算方法、別表での処理方法まで実務に即してわかりやすく解説します。「経費になると思っていたら否認された…」というミスを防ぐためにも、ぜひ最後までご覧ください。

目次

寄付金が損金不算入となる理由とは?

寄付金は社会貢献的な支出である一方で、法人税の計算においては注意すべき独自のルールがあります。

損金不算入とは何か?どんな場合に適用される?

「損金不算入」とは、税務上の費用(損金)として認められない項目を意味します。会計上は費用として計上されていても、法人税の計算上は損金に含めないというルールで、主に法人税法で定められています。

寄付金のように、事業との直接的な関連性が薄い支出については、一定の制限が設けられており、その部分が「損金不算入」となります。

なぜ寄付金は全額損金にならないのか?

寄付金が全額損金とならない理由は、主に「課税の公平性」と「法人間の利益移転の防止」にあります。企業が自由に寄付金を損金算入できてしまうと、課税所得の操作が可能になり、結果として税負担の不公平が生じます。

このため、寄付金には厳格な分類と損金算入限度額が設けられ、税務上のコントロールがなされています。

損金不算入制度について

寄付金の損金不算入制度は、法人税法第37条などを根拠とし、「法人が恣意的に利益を減らすことを防ぐ」という目的があります。特に完全支配関係のある法人間や、国外関連者への寄付は、利益操作の温床となりやすいため、損金不算入とすることで透明性を担保しています。

寄付金の分類と損金不算入になるパターン

法人が支出する寄付金は、税務上の取り扱いによっていくつかの区分に分かれます。代表的な分類は以下のとおりです。

寄付金の種類 損金算入の可否 限度額の適用 備考・注意点
国・地方公共団体への寄付 損金算入可能 適用なし 全額損金算入できる。例:災害支援、ふるさと納税など。
指定寄附金(政府指定の団体) 損金算入可能 適用なし 日本赤十字社、ユニセフなど。国税庁のリスト要確認。
特定公益増進法人等への寄付 損金算入可能 適用あり 限度額内でのみ算入可。要件を満たす法人か事前に確認。
一般寄付金 限度内で算入可能 適用あり 限度額を超えた部分は損金不算入。多くの企業が該当。
国外関連者への寄付 原則損金不算入 適用なし 海外子会社や取引先への寄付は原則認められない。
完全支配関係がある法人への寄付 原則損金不算入 適用なし 親子会社間など。形式的寄付と見なされない工夫が必要。

それぞれの寄付金の区分ごとに、損金算入が認められるかどうか、またその限度額が異なります。以下で個別に解説します。

国・地方公共団体への寄付

国や地方自治体への寄付金は、公益性が非常に高いとされており、全額が損金算入可能です。たとえば、災害復興支援金や、ふるさと納税(法人版)などが該当します。国や自治体に対する寄付については制限がなく、安心して経費処理することができます。

特定公益増進法人等への寄付

学校法人、社会福祉法人、医療法人などの特定公益増進法人に対する寄付金も、原則として損金算入が認められますが、限度額が定められています。対象法人が「特定公益増進法人」として要件を満たしているかどうかを、事前に国税庁の資料などで確認することが大切です。

指定寄附金

日本赤十字社やユニセフ協会など、政府から指定された団体への寄付金は「指定寄附金」と呼ばれ、全額損金算入が可能です。この取り扱いは、災害支援や国際援助など、極めて公益性の高い活動を支えるために設けられた制度です。

ただし、寄付先が「指定寄附金」として認定されているかどうかは、国税庁の公開リストなどで必ず確認してください。

一般の寄付金(最も制限が多い)

特定の条件に該当しない、一般的な寄付金は「一般寄付金」として扱われます。この場合、法人税法で定められた計算式によって算出された限度額の範囲内でのみ損金算入が可能です。

多くの企業がこの一般寄付金に該当し、限度額を超過して損金不算入となるケースが多く見られます。

国外関連者への寄付

海外に所在する子会社やグループ企業、または業務提携先などへの寄付は、「国外関連者への寄付」として扱われ、原則として全額損金不算入となります。グローバルに展開している企業では、国際取引に関わる税務リスクが高まるため、特に慎重な判断が求められます。

完全支配関係がある法人への寄付

親会社と子会社など、完全に支配関係にある法人間で行われた寄付も、原則として損金不算入です。ただし、資金の提供目的が明確で、通常の事業活動の一環として行われたものであれば、別の費用科目(例えば業務委託費や補助金等)として処理できる場合があります。

形式的に寄付とみなされないよう、契約書などの書類で支出の趣旨を明確にしておくと安心です。

損金不算入額の計算方法

寄付金のうち一部は、金額に上限があり、それを超える部分は損金にできないため、正確な計算が必要になります。

損金算入限度額の概要

寄付金のうち、「一般寄付金」や「特定公益増進法人等への寄付金」は、法人税法上で定められた限度額の範囲内でのみ損金算入が認められます。この限度額は、法人の「所得金額」と「資本金等の額」によって計算される仕組みとなっており、企業の規模や業績によって変動します。

計算式(所得金額×2.5% + 資本金×0.25%)

一般寄付金の損金算入限度額は、次のような計算式で求めます。

(期末資本金等の額 × 0.25% + 所得金額 × 2.5%) × 1/4

この計算結果により、その年度に損金算入できる寄付金の上限額が決まります。なお、千円未満は切り捨てるなどの端数処理が必要です。

また、課税所得が赤字の法人については、限度額がゼロとなり、寄付金の全額が損金不算入になる点にも注意しましょう。

損金算入限度の計算具体例

損金算入限度額の考え方をわかりやすく理解するために、以下のような例で計算してみましょう。

例:資本金が2,000万円、所得金額が5,000万円の法人が、一般寄付金を100万円支出した場合。

【ステップ1】限度額の基礎計算

  • 資本金部分:2,000万円 × 0.25% = 5万円
  • 所得金額部分:5,000万円 × 2.5% = 125万円
  • 合計:5万円 + 125万円 = 130万円

【ステップ2】損金算入限度額の計算

  • 損金算入限度額:130万円 × 1/4 = 32万5,000円
  • 税務処理では千円未満を切り捨てるため32万円が損金算入限度額

【ステップ3】損金算入額と損金不算入額の差額

  • 実際の寄付金支出額:100万円
  • 損金算入できる額:32万円
  • 差額:100万円 − 32万円 = 68万円(←これが損金不算入)

つまり、このケースでは100万円のうち32万円だけが損金算入でき、残りの68万円は損金不算入となります。

このように、限度額を超えた寄付金部分は経費として認められず、法人税の計算においては加算調整が必要になります。

損金不算入額が発生した場合は別表4・14に記載する

損金不算入額が発生した場合は、法人税申告書において以下の処理が求められます。

  • 別表四:会計上費用として計上された寄付金のうち、損金不算入とする金額を「加算調整」する欄に記載します。
  • 別表十四:寄付金の種類や、限度額の計算結果、損金算入できる額、損金不算入となる額などを記載します。

この部分は形式に沿った正確な処理が必要となるため、社内での確認体制を整えたうえで、税理士などの専門家に相談しながら記載することを推奨します。

実務でよくある勘違いと対応策

寄付金の税務処理は制度上のルールが複雑なうえ、会計処理や分類の判断を誤ると損金不算入となるリスクが高まります。以下では、実務でよくある勘違いやミスと、それを防ぐための対応策を紹介します。

広告費・交際費との線引きミス

寄付金とよく似た支出として、「広告宣伝費」や「交際費」があります。たとえば、地域のイベントへの協賛金や、地元の団体への支援金などが該当するケースです。

このような支出は、以下のように目的に応じて分類されます。

  • 広告としての効果が明確な場合 → 広告宣伝費
  • 得意先との関係維持や接待にあたる場合 → 交際費
  • 上記いずれにも該当しない場合 → 寄付金

この判断を誤ると、本来は損金算入できるはずの支出を「寄付金」として処理してしまい、損金不算入となってしまうことがあります。こうしたミスを防ぐためには、支出の内容を説明できる書類(契約書・案内文・企画書など)を整備し、領収書にも支出の目的を明記しておくことが重要です。

赤字法人でも損金算入できる?

損金算入限度額の計算は、「所得金額」が基礎になるため、赤字法人(所得金額が0円以下)の場合は、基本的に損金算入ができません。仮に資本金部分に基づく限度額があっても、そこに「×1/4」の補正がかかるため、算出される損金算入限度額は非常に小さくなります。

つまり、赤字決算の状態で寄付を行った場合、支出した寄付金のほぼ全額が損金不算入になる可能性があるということです。資金繰りへの影響や税負担を正しく見積もるためにも、赤字かどうかの状況判断は必ず事前に行いましょう。

連結納税・グループ法人税制との関係

連結納税制度やグループ通算制度を利用している法人グループでは、グループ内での寄付金の取扱いに特に注意が必要です。完全支配関係にある法人間の寄付金は、原則として損金不算入となるためです。

たとえば、親会社が子会社に対して資金支援目的で寄付を行ったとしても、それが税務上「寄付」と認定されれば、支出額は損金不算入となり、法人税の申告に影響します。

このような場合は、「寄付」ではなく「貸付」「出資」「業務委託」など、目的に応じた適切な名目で処理することが求められます。契約書の内容や社内稟議資料なども整備しておくと、寄付とみなされるリスクを下げることができます。

freee・マネーフォワードでの処理のポイント

クラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)を利用している場合も、寄付金の処理には手動での対応が必要になります。特に税務調整に関する機能は自動化されていない部分が多いため、以下のような対応をしておくと安心です。

  • 勘定科目「寄付金」を使い分ける(一般寄付金・指定寄付金など)
  • 損金不算入額や限度額の情報を、メモ欄やコメント欄に記録しておく
  • 別表四・十四との連携(もしくは補助資料の準備)を確認しておく
  • 税理士や会計事務所と定期的にレビュー・チェックを行う

クラウド会計の便利さは活かしつつも、寄付金のように税務処理が複雑な項目については、補助資料の作成や専門家の関与が不可欠です。

Q&A(よくある質問と回答)

寄付金は経費にならないのですか?

会計上は「寄付金」として費用計上されますが、税務上はすべてが損金になるわけではありません。税法により損金算入の可否や限度額が決められており、これに従って処理する必要があります。損金不算入とされた金額は、法人税申告書の別表で加算調整を行います。

損金算入が認められない理由とは?

主な理由は、法人間の利益操作や恣意的な課税逃れを防止するためです。たとえば、グループ内の法人に寄付という形で利益を移し、税負担を軽減することを防ぐ目的があります。また、企業活動とは直接関係のない支出が課税所得から控除されることを防ぐ意味合いもあります。

損金算入限度額の上限はいくら?

限度額は以下の式で求めます(一般寄付金の場合)

(資本金 × 0.25% + 所得金額 × 2.5%) × 1/4

宗教法人や神社への寄付は?

宗教法人や神社への寄付は、「一般寄付金」として扱われるケースが多く、損金算入には限度額が適用されます。ただし、その法人が特定公益増進法人等に該当する場合は、別の取り扱いが適用される可能性があります。曖昧な場合は、寄付前に税理士へ確認することをおすすめします。

明治通り税理士法人が支援できること

寄付金の税務処理には、多くの専門知識と正確な判断が求められます。ここでは、明治通り税理士法人がどのような支援を提供しているかをご紹介します。

寄付金の分類と損金算入可否の判断支援

寄付金の扱いは、支出先や目的によって分類が分かれ、それぞれに税務上の取り扱いが異なります。明治通り税理士法人では、寄付先が「一般寄付金」「特定公益増進法人等」「指定寄附金」などのいずれに該当するのかを、最新の法令や通達に基づいて丁寧に判定します。損金算入が可能かどうかを判断し、法人にとって最適な処理方法をご提案します。

限度額計算と法人税申告書への反映

一般寄付金などは、資本金や所得金額に応じて損金算入限度額が決まります。その計算には税法上の細かなルールが存在するため、ミスのない対応が欠かせません。当事務所では、限度額の正確な算出に加え、法人税申告書の別表四および別表十四への適切な記載方法もサポートしています。初めての申告や申告書の見直しにも対応可能です。

クラウド会計ソフトでの処理アドバイス

freeeやマネーフォワードなどのクラウド会計ソフトを導入している企業向けには、寄付金処理の実務に対応した支援を行っています。会計ソフト上での勘定科目の設定、損金不算入額の記録方法、税務調整との連動チェックなど、操作面と制度面の両方からサポートします。税理士との共有・連携を前提とした運用設計もご相談いただけます。

証憑類の整理と税務調査対策

寄付金処理においては、会計処理だけでなく、支出の「目的」と「根拠」を示す証憑の整備が重要です。明治通り税理士法人では、領収書、契約書、寄付申込書など、必要書類の内容確認や保管方法についてもアドバイスを行っています。税務調査の際にも、寄付としての正当性を示すための体制構築を支援し、安心して対応できるようサポートします。

経営判断に役立つ税務アドバイスの提供

寄付金は単なる支出ではなく、社会貢献や企業ブランディングといった経営判断に深く関わる領域でもあります。当事務所では、税務上の取扱いだけでなく、資金繰りや利益計画への影響も含めた総合的なアドバイスを提供しています。税務と経営の両面から寄付金の最適な活用をサポートいたします。

まとめ

寄付金の取り扱いは、金額の多寡にかかわらず法人税申告でのミスが発生しやすい項目のひとつです。特に「どの区分に当てはまるのか」「限度額計算」「別表処理」などは、専門的な判断を要する場面も多く、自己判断で処理するのはリスクが高いといえます。

明治通り税理士法人では、こうした寄付金の税務処理をはじめ、グループ法人間の取引、赤字法人の対応、クラウド会計での記録整理など、幅広い実務支援を行っております。

「これって損金になるの?」と少しでも疑問に思われたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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