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投稿日:2025.08.29

NPO法人に課せられる税金とは?収益事業と非課税の違いを解説

NPO法人と聞くと、「税金がかからない団体」「非営利だから収益を上げてはいけない」といったイメージを持たれる方も多いかもしれません。しかし、実際にはNPO法人にも課税されるケースがあり、すべてが非課税というわけではありません。

特に、「収益事業」に該当する活動を行っている場合は、法人税や消費税などが課されることもあります。逆に、公益性の高い活動や寄付による収入のみで運営している場合は、税制上の優遇措置が適用されることもあります。

税制上の位置づけを誤解したまま活動を続けてしまうと、後になって想定外の税負担が発生したり、税務署から指摘を受けるリスクもあります。

この記事では、NPO法人に関係する税金についてわかりやすく整理し、「課税対象になるケース」と「非課税になるケース」の違いや注意点を解説します。

NPO法人とは?基本知識

NPO法人とは、「Non-Profit Organization(非営利組織)」の略で、社会的課題の解決や公共の利益の増進を目的として活動する法人です。正式には「特定非営利活動法人」と呼ばれ、内閣府または都道府県知事の認証を受けて設立されます。

営利企業と異なり、利益を構成員に分配せず、すべて団体の目的のために使うという非営利性が最大の特徴です。

NPO法人の概要と目的

NPO法人の目的は、福祉、教育、まちづくり、環境保護、災害支援など、公益性の高い分野での継続的な活動です。

「非営利」といっても、利益を出してはいけないというわけではありません。たとえば講座の受講料や商品販売によって収益を得ることもあります。ただし、その利益を役員や会員に分配することは禁止されており、活動のために再投資することが原則です。

資金源と活動内容

NPO法人の運営資金は、主に会費、寄付金、助成金、補助金、そして自主事業による収益などから成り立っています。会員や支援者による継続的な支えに加え、地域イベントの開催や物販などで得た収入が団体の活動を支えています。

活動の内容は非常に幅広く、地域の子育て支援や高齢者見守り活動、障がい者の就労支援、外国人の日本語教育、まちづくりプロジェクトなど、多岐にわたります。行政だけでは対応しきれない社会的ニーズに柔軟に対応できるのが、NPO法人の大きな強みです。

NPO法人と認定NPO法人との違い

NPO法人には「認定NPO法人」と呼ばれる、より厳格な基準を満たした法人格も存在します。これは、公益性や情報公開の透明性など、一定の条件をクリアした団体が所轄庁から認定を受ける仕組みです。

認定NPO法人になると、寄付を受けた際に、寄付者が所得控除や税額控除を受けられるようになります。そのため、個人・企業のいずれにとっても寄付しやすくなり、資金集めにおいて大きなメリットとなります。また、団体側としても、相続財産を受け取っても相続税がかからないなど、税制面での優遇措置が設けられています。

このように、同じNPO法人でも認定を受けるかどうかで、税務上の取り扱いや社会的信頼度に差が出る点は非常に重要です。

NPO法人にかかる税金は?

「NPO法人は非営利団体だから税金がかからない」と思われがちですが、実はそうとは限りません。営利企業のように利益を目的としない活動に対しては非課税となる場合もありますが、活動の内容によっては法人税や消費税などの課税対象となることもあります。

課税されるかどうかの分かれ目は、主に「その活動が収益事業にあたるかどうか」、そして「対価を得て継続的に事業を行っているかどうか」です。また、税金の種類によっても判断基準や課税条件が異なりますので、正しい理解が必要です。

ここでは、NPO法人が関係する主な税金と、そのポイントについてわかりやすく解説します。

法人税

NPO法人が法人税の対象となるのは、その活動が「収益事業」と判断された場合です。たとえば、物品の販売、飲食店の経営、駐車場の貸し出しなど、政令で定められた34業種のいずれかに該当し、かつ継続的に事業所を設けて行っている活動が該当します。

ここで注意したいのは、「非営利」だからといってすべてが非課税になるわけではないということです。
たとえ公益目的であっても、収益性が高く、対価を得て継続的に実施されている場合は、課税の対象となる可能性があります。

一方、会費や寄付金、助成金など、見返りのない資金提供によって成り立っている非営利活動については、原則として法人税の対象にはなりません。

法人住民税

法人住民税は、法人の所在地に対して支払う地方税であり、「均等割」と「法人税割」の2つから構成されます。NPO法人の場合、収益事業を行っていないのであれば「均等割」のみが課税されるのが一般的です。金額は自治体によって異なりますが、年間数万円程度が目安となります。

また、自治体によっては、一定の条件を満たすNPO法人に対して均等割の減免制度を設けているところもあります。地域貢献度が高い活動を行っている団体などは、事前に自治体に確認して申請することで税負担を軽減できる可能性があります。

消費税・地方消費税

NPO法人が物品の販売やサービス提供を通じて売上を得ている場合、課税売上高が1,000万円を超えると消費税および地方消費税の納税義務が発生します。これは、法人税とは異なり、対象となる取引の「金額の大きさ」で判断される点が特徴です。

たとえ収益事業でなくても、一定の金額を超える売上がある場合は、免税事業者ではいられなくなります。最近では、取引先からインボイス制度対応を求められるケースもあり、自主的に課税事業者を選択するNPO法人も増えています。

印紙税

NPO法人が契約書を作成する際には、内容によって印紙税が課されることがあります。ただし、NPO法人の場合、特定の目的や条件に合致する契約であれば非課税扱いとなるケースもあります。

なお、NPO法人は印紙税法上の「営業者」に該当しないため、領収証に収入印紙は不要となります。

登録免許税

NPO法人を設立する際にかかる登録免許税についても、認証を受けたNPO法人は減免の対象となるため、通常の法人に比べて初期費用を抑えられる点も特徴です。

とはいえ、登録免許税の取り扱いは文書の内容や用途によって異なるため、不明点がある場合は税理士や専門機関に相談するのが安心です。

相続税・贈与税

NPO法人が個人や法人からの寄付を受け取ることは一般的ですが、その際の相続税や贈与税についても一定のルールがあります。

原則として、NPO法人が受け取る寄付は相続税・贈与税の課税対象外とされています。これは、公益性の高い団体への支援を促進するための制度です。

ただし例外も存在します。たとえば、NPO法人としての実態がない、あるいは寄付された資産が私的流用されていると判断された場合は、課税対象とされることがあります。

また、法人格はあっても認定NPO法人でない場合、寄付者側の税制優遇(寄付金控除等)が受けられないケースもあるため、寄付を集めたい団体はこの点も十分に理解しておく必要があります。

収益事業と非収益事業の違いと具体例

NPO法人の税務対応で非常に重要なポイントが、「収益事業」と「非収益事業」の区別です。

この違いが、法人税などの課税対象になるかどうかを分けるため、適切な理解と分類が求められます。曖昧なままにしておくと、後に税務署から指摘を受ける可能性もあるため注意が必要です。

収益事業の定義と34業種の具体例

収益事業とは、税法上「政令で定められた34業種に該当し、継続的に行われ、かつ事業所を設けて行う事業」と定義されています。

NPO法人であっても、この条件に当てはまれば、たとえ活動の目的が公益性のあるものであっても、課税対象の収益事業と見なされ、法人税の申告・納付義務が発生します。

  1. 物品販売業
  2. 不動産販売業
  3. 金銭貸付業
  4. 物品貸付業
  5. 不動産貸付業
  6. 製造業
  7. 通信業
  8. 運送業
  9. 倉庫業
  10. 請負業
  11. 印刷業
  12. 出版業
  13. 写真業
  14. 席貸業(貸席業)
  15. 旅館業
  16. 飲食店業
  17. 周旋業(あっせん業)
  18. 代理業
  19. 仲立業
  20. 問屋業
  21. 鉱業
  22. 土石採取業
  23. 浴場業
  24. 理容業
  25. 美容業
  26. 興行業
  27. 遊技所業
  28. 運動競技場業
  29. 駐車場業
  30. 医療保健業
  31. 技芸教授業(例:カルチャー教室など)
  32. 再生資源回収業
  33. 冠婚葬祭業
  34. その他政令で定める類似業種

たとえば、物品販売やカフェの運営、駐車場の貸出、有料イベントの開催などは典型的な収益事業です。講演会や研修を有料で開催する場合、営利目的でなくても、反復継続して行っていれば課税対象になります。

広告掲載による収入や、印刷・製本などを対価を得て外部向けに提供している場合も、同様に収益事業として扱われます。形式的に該当する業種かどうか、また収益性があるかどうかを基準に判断されるため、活動内容と実態を丁寧に確認することが大切です。

継続性・事業所の有無がポイント

収益事業と判断されるかどうかの基準は、業種の種類だけではありません。もうひとつ重要なのが、「継続性」と「事業所の有無」です。

具体的には、次の3つの要件をすべて満たした場合に収益事業とされます。

  • 政令で定められた34業種に該当するかどうか
  • その事業を単発ではなく、反復的・継続的に行っているかどうか
  • 事務所や店舗など、一定の物理的な拠点を持って事業を行っているかどうか

この3つが揃えば、法人税の対象とされ、確定申告が必要になります。逆に言えば、どれかが欠けていれば収益事業とは見なされない可能性もあるため、実態に即した判断が必要です。

非収益事業と判断されるケースとは?

一方、課税対象とならない非収益事業にはどのようなものがあるのでしょうか。

NPO法人の典型的な非収益活動としては、会員からの会費や入会金、個人や法人からの寄付金、国や自治体からの助成金など、見返りを伴わない収入が挙げられます。これらは事業としての対価が発生していないため、基本的に非課税となります。

また、無料の講座開催や資料配布、相談窓口の設置といった活動も、公益性が高く営利性がないと判断されるため、非収益事業に分類されます。教育や福祉、地域支援などの分野でこうした活動を行っている団体は多く、税制上も配慮されています。

ただし、注意すべきは、たとえ活動が無料であっても、その内容や規模、反復性などによっては、「実質的に収益事業に近い」と見なされることがある点です。特に、継続的な物販やサービス提供を行っている場合には、形式的な非営利を主張しても通用しないことがあるため、慎重な判断が求められます。

実際にあったNPO法人の税務トラブル事例

NPO法人というと、一般的には「税金とは無縁の団体」というイメージを持たれがちです。ですが、現実には、税務処理の誤りや判断ミスによって、思わぬ課税や指導を受けるケースが数多く存在します。

とくに、会計や税務の担当者がボランティアであったり、税務の専門知識がないスタッフが兼任しているような団体では、ちょっとした見落としが大きなリスクに発展することも。ここでは、実際に起こりうる典型的なトラブル事例を3つご紹介します。

事例1|寄付金の使途が不明確で問題視されたケース

あるNPO法人では、個人や企業からの寄付金を受け取り、活動資金として使用していました。しかし、「寄付金は自由に使ってよいもの」と誤解していたため、活動とは直接関係のない備品の購入や、理事会の飲食費にあててしまったのです。

税務署からの指摘を受け、資金の流れについて説明を求められましたが、十分な帳簿や支出根拠がなく、一部については寄付金の公益性を逸脱していると判断され、課税対象として扱われる結果となりました。

寄付金は非課税扱いとなる反面、使途や記録の管理が適切であることが前提です。不明瞭な支出や曖昧な処理は、団体の信用を損なうだけでなく、税制上の優遇を受けられなくなる可能性があるため注意が必要です。

事例2|収益事業に該当するのに無申告だった団体

地域イベントを開催し、手作り雑貨や食品の販売を行っていたNPO法人の事例です。担当者は「イベントは非営利目的だから問題ない」と判断し、売上があったにもかかわらず法人税の申告をしていませんでした。

しかし、税務署の調査で「継続的に販売していた」「イベントは年複数回行われていた」「利益を目的とした価格設定がされていた」と認定され、政令で定める収益事業に該当すると判断。結果的に、過去数年分の修正申告と追徴課税が課されました。

このように、活動の形式ではなく、実質的な内容や継続性が重視されるのが税務の世界です。営利を目的としないという主張があっても、事業の中身次第では課税対象となることを認識しておく必要があります。

事例3|役員報酬の処理方法が不適切で指摘されたケース

別のNPO法人では、理事に対して月々の謝礼を支払っていましたが、「ボランティア的な立場だから」として、正式な報酬としての処理をしていませんでした。実際には、理事は定期的に業務を行っており、実質的に継続的な業務委託に該当していました。

しかし、報酬であるにもかかわらず「謝金」や「交通費」として処理していたため、源泉徴収が行われておらず、所得税の申告漏れがあるとして指摘を受けました。最終的には、法人側が源泉徴収税額を過去分も含めて納付することになりました。

役員報酬や謝礼については、実態に即した処理と正確な税務対応が求められます。たとえ金額が少額でも、税法上の分類を誤ると、税務上のリスクを抱えることになるのです。

税金対策・優遇措置・トラブル回避のポイント

NPO法人は非営利組織ですが、税務処理を誤ると課税対象となる場合があります。特に収益事業に関する申告漏れや帳簿不備には注意が必要です。

ここでは、税務トラブルを防ぐための会計体制の整備や、制度上の優遇措置を活用するポイントを解説します。

クラウド会計ソフトを導入し会計体制を整える

税務リスクを減らすためにまず必要なのは、収益事業と非収益事業をきちんと区分し、それぞれの収支を正確に記録・管理する会計体制の整備です。この区別が不明瞭なままでは、非課税でよいはずの収入まで課税対象と誤認されたり、反対に申告すべき収益を見逃してしまう可能性があります。

帳簿管理においては、領収書・請求書・契約書・出納帳といった取引の根拠資料を日々しっかりと保管し、定期的な内容の見直しや記録の確認作業をルーティン化することが不可欠です。

こうした会計体制を効率よく整える手段として、近年ではクラウド会計ソフトの導入が非常に有効です。クラウド型のシステムを使うことで、収支の透明性を高め、帳簿の整合性を保ちやすくなるだけでなく、複数人での同時管理やデータのリアルタイム共有も可能になります。

さらに、電子帳簿保存法への対応、ペーパーレス化、データの自動仕訳などによって、事務作業そのものの効率も大幅に向上します。

専門家との連携で安心を確保する

制度を正しく理解し、形式上だけでなく実態としても健全な経理運営を行うには、やはり税理士などの専門家と連携することが最も確実な方法です。

税制は年々改正されており、特にNPO法人のように複数の資金源(寄付、助成金、事業収入など)を持つ組織では、課税・非課税の判断が複雑になりやすいのが実情です。

専門家と連携することで、以下のようなメリットがあります。

  • 最新の法改正や制度変更への迅速な対応
  • 収益事業の判断基準や申告の要否についての明確なアドバイス
  • 税務署対応や帳簿の見直しへの備え
  • 税制優遇措置の活用による負担軽減

特に、過去に税務調査の経験がある団体や、初めて法人化したばかりの団体にとっては、信頼できる税理士の存在が大きな安心材料になります。

明治通り税理士法人のサポート内容紹介

明治通り税理士法人では、NPO法人や一般社団法人といった非営利法人の税務・会計支援に多数の実績があります。

一般企業とは異なる非営利法人特有の論点を熟知しており、収益事業・寄付金・助成金といった多様な収入の会計処理から、帳簿作成、税務申告、クラウド会計導入のサポートまでワンストップで対応しています。

また、明治通り税理士法人では、クラウド会計ソフトを活用したペーパーレス経理を推進しており、オンラインでの資料共有や帳簿チェック、税務相談が全国どこからでも可能です。たとえば、地方のNPO法人様でも、インターネットを通じて東京の専門家チームにリアルタイムで相談できる体制が整っています。

特に、以下のような団体様にとっては大きなメリットがあります。

  • 新しく法人を設立したばかりで税務が不安な団体
  • 寄付・助成金・事業収入など複数の資金源を持つ団体
  • 過去に税務調査の経験があり、リスク管理を強化したい団体
  • オンラインでの経理支援を希望している地方団体

明治通り税理士法人は、「NPO法人の良き相談相手」として、活動の裏側から支えるパートナーです。税金や会計に関するお悩みをお持ちの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

まとめ

NPO法人であっても、すべての活動が非課税になるわけではありません。収益事業に該当する活動を行えば、法人税や消費税などの課税対象となり、正確な申告が求められます。

とはいえ、活動の性質や資金源によっては、税制上の優遇措置や免税制度が活用できるケースも多く存在します。 そのためには、「どの事業が収益事業にあたるのか」「どの書類を整備すべきか」「税務署への対応はどうすべきか」といった正しい知識と、日常の会計・税務体制の整備が重要です。

明治通り税理士法人では、NPO法人の支援体制を整えており、全国からのご相談にオンラインで対応可能です。税金の不安を「安心」に変え、団体の社会的信頼性を高めるサポートをご提供しています。ぜひ、お気軽にご相談ください。

無料相談受付中

「税理士の切り替えを考えている」「経理が回らないから外注したい」「今の税理士でよいのか悩んでいる」
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